生命保険のからくり (著)岩瀬大輔
今までタブーとされていた生命保険の原価や利益の仕組みを公開し話題を呼んだ、ライフネットの創業者であり副社長の岩瀬氏による、生命保険の解説本。
生命保険の意義や目的、商品や儲けの構造、さらには選び方のアドバイスなどが非常に丁寧に書かれている。
通常はどの市場でも企業間競争により、品質の向上、価格の適正化、そして消費者ニーズを満たしていく。
しかし護送船団方式だった保険業界では企業間競争が乏しく、また運用計画性の低い商品開発による多大な逆ざや、数十年前から変わらないセールスレディによるコストの高い販売方法など、旧態保険会社の経営実態は酷いことがわかる。
その原因は、かつて大蔵省の規制の下、商品や保険料が同一で大きな差が無かったため、どの会社で加入しても問題無かったからだ。
ただ、現在規制は緩和され、外資企業も多く参入し、商品や保険料は多様化しているので、加入者個々人が商品を見極める力が必要になってくる。
冷静に考えれば、保険料は毎月の支払金額は小さくても積もれば数百万〜数千万円になることがわかる。
家や車に次ぐ位の金額にもなる保険に対して、保険の仕組みや内容の理解が無いまま加入するのは、リスクが高いと誰でも思うだろう。
ましてや、セールスマンやセールスレディへの義理人情や、お付き合いで加入するのは言語道断なわけだ。
ちなみに、世の中の販売物と同様に、保険料も企業努力によって値下げされていると思いがちだが、実は保険商品の場合、セールや割引は法律によって禁止されている。(これは私も知らなかった。)
よって、広告やパンフレットなどでお得感をがありそうな保険商品であっても、必ずそのサービスに相当する保険料が算出されているというわけだ。
よって保険料の差は、商品そのものの構造と、各企業の利益を加味した値段設定に寄与される。
だからこそ、自分にあった保険商品の選択、適正価格の是非(事業コストや悪運用によるコストが隠れて上乗せされていないか)をジャッジできる事、もしくはジャッジできるを相談相手を持つ事が重要になってくる。
その相談相手の一つとして、消費者目線で書かれている本書は最適である。
生命保険加入前、見直し時には是非読むことをオススメしたい一冊。
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