2011年3月25日金曜日

ギャバンとサンバルカンと聖母たちのララバイ

先日のエントリー「昔のアニメソングのベースラインが格好良い」で紹介した宇宙刑事ギャバンの主題歌が気になり、子供の頃以来にじっくりと聴き込んでみた。



若さってなんだ「振りむかないことさ」「諦めないことさ」。
愛ってなんだ「ためらわないことさ」「悔やまないことさ」。
繰り返されるサビへの導入部分の歌詞は非常に耳に残り、子供時代に口ずさんでいたことを今でも覚えている。
ヒーロものの主題歌を通して、幼い男の子に男らしさが何かということを訴えているのかもしれない。
この時代の子供向け番組の主題歌は番組のために制作されているので、番組の印象や雰囲気を醸成させるのに大きく貢献している。

さて、そんな素敵な詞を書いた作詞家に興味がわいたので調べてみると面白い事実が分かった。
作詞家の名前は山川啓介氏。
1944年生まれの現在66歳で、作詞家のほか、脚本家・音楽構成家・舞台構成家・訳詞家として活躍している。

宇宙刑事ギャバン以外にも番組主題歌の作詞を数多く担当していた。

まずは宇宙刑事シリーズ第2弾の宇宙刑事シャリバン。
ここでも「いいじゃないか夢があれば」「いいじゃないか明日があれば」と山川節で素敵なフレーズが繰り返され、また「男強さ優しさ」「力 勇気 輝き」と男の在り方を訴えている。

ちなみに、この宇宙刑事シリーズはライトセーバー的な武器が登場したりと、当時の流行していたスターウォーズの影響が垣間見れる。




そして「イーグル シャーク パンサー」というフレーズが印象的な太陽戦隊サンバルカン。
曲を通して太陽の素晴らしさを説いている。



このように1980年代の特撮ヒーロ番組の主題歌を担当しているのだか、驚くべきなのは、山川氏の作詞活動は歌謡曲がメインということ。
例えば下記のような楽曲の作詞が挙げられる。
特撮ヒーローものとのギャップがすごい。

矢沢永吉「時間よ止まれ」
岩崎宏美「聖母たちのララバイ」「家路」
ゴダイゴ「銀河鉄道999」
中村雅俊「時代遅れの恋人たち」「海を抱きしめて」





社会背景の問題かもしれないが、1980年代の曲は現代のような「愛」「恋」「親や友人に感謝」といった生活の中にある言葉や直接的な表現ではなく、1曲の中にストーリーと文脈があり、ジワジワと胸の中から込み上げてくるようなメッセージ性がある。
山川氏の詞も脳裏に曲の情景が浮かんで広がるストーリー性があり感慨深い。

やはり音楽にとって「詩」「曲」「歌い手(演奏)」が三位一体であるからこそ、文脈や演出が醸成され感動するのだと改めて感じる。

作詞や作曲の変遷については様々な要因があるのだろうが、下記エントリーではそのうちの幾つかを示しているのでご参考まで。

>
【BOOK REVIEW】Jポップとは何か
>
アニメ主題歌の変遷



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