今回の災害を受け、地震保険について考えた方も多いのではないだろうか。
日本損害保険協会の記者会見では、東日本巨大地震に絡む地震保険の支払総額が阪神大震災の783億円を上回り、過去最大になるとの見通しが示され、数千億円規模になるとの見方も出ている。
損保会社は保険金支払のために、投資していた外貨や株券を円に変えたりと、てんやわんやなはずであるが、それでも各社の業績については「経営に大きな影響を与えるほどではない」とのこと。
そこで、今回は地震保険について簡単におさらいしてみたいと思う。
まず最初に確認しておきたいのは、生命保険と損害保険の違いだ。
生命保険は「人の生死に関し一定額の保険金を支払うことを約束し保険料を収受する保険」、損害保険は「一定の偶然な事故によって生ずることのある損害を填補することを約束し保険料を収受する保険」であり、特性が大きく異なる。
要するに生命保険は「定額払」であり、損害保険は「実損払」となる。
だから1億円の損害保険を掛けていても被害が500万円であれば当然500万円しか支払われない。
上記を踏まえた上で地震保険を説明する。
<保険の対象>
居住用建物(工場や店舗などは不可)および家財のみ。
ただし、建物は1階が店舗で2階が住宅になっているような併用住宅は加入できる。
また家財においては、30万円を超える貴金属や骨董類、有価証券や印紙、自動車などは対象外となる。
今回津波により自動車も大きな被害を受けたが、対象には含まれないので保険金は支払われない。
(任意自動車保険の車両保険で「地震・噴火・津波危険車両損害担保特約」などを付帯していれば車両保険から支払われる)
<契約方法>
地震保険単独での契約はできない。必ず居住用建物の火災保険に付帯して契約する。
これを知らない方が意外に多い。
また建物と家財は別々の契約となることに注意。
<補償内容>
担保される損害は「地震」「噴火」「津波」を原因として建物や家財が「火災」「損壊」「埋没や流出」となった場合。
<保険期間>
保険期間は原則1年。
主契約の火災保険が長期の契約の場合は自動継続もできるが、地震保険の金額は度々変動するので最大でも5年の自動継続となっている。
<保険金額の範囲>
主契約である火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で別個に定める。
ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度。
例えば5,000万円の火災保険に加入していたら、建物には最高で2,500万円しか保険が掛けられない。
よって、時価5,000万円の自宅が地震で損壊しても2,500万円までしか保険金は支払われないのだ。
損保と言うと実損分が支払われるイメージがあるが、そんなことはないので気をつけたいところ。
<保険金の支払(建物)>
全損(主要構造部の損害額が時価の50%以上/焼失・流出床面積が延床面積の70%以上):建物の保険金額の全額
半損(主要構造部の損害額が時価の20%以上50%未満/焼失・流出床面積が延床面積の20%以上70%未満):建物の保険金額の50%
一部損(主要構造部の損害額が時価の3%以上20%未満):建物の保険金額の5%
<保険金の支払(家財)>
全損(損害額が時価の80%以上):家財の保険金額の全額
半損(損害額が時価の30%以上80%未満):家財の保険金額の50%
一部損(損害額が時価の10%以上30%未満):家財の保険金額の5%
以上。
ちなみに日本は地震大国であり、保険という商品が大好きな国民性なのに、地震保険の加入は伸び悩んでいると言う。
それは地震保険は火災保険に付帯する保険ということだったり、地震保険金を受け取るときに同時に火災保険金を受け取ることはできないということが原因の一つとも言われている。
確かに今回の被災地である東北地方の世帯加入率をみてもそのことが伺える。
青森県:14.5%
岩手県:12.3%
宮城県:32.5%
福島県:14.1%
茨城県:18.7%
※引用 日本経済新聞
今回のような災害は数十年もしかしたら数百年に1度かもしれないし、現在は耐震性の優れた建物も多くなっている。
だから火災保険や自動車保険、傷害保険など、他の損害保険と比較するとリスクも低く加入する必然性は問われるところではある。
ただ今回の震災は、損害保険の加入状況について今一度見つめ直す良い機会である。
まずは火災保険の保険証書を確認し、地震保険が付帯されているかを確認してみてはいかがだろうか。
まずは火災保険の保険証書を確認し、地震保険が付帯されているかを確認してみてはいかがだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿