2011年1月29日土曜日

【BOOK REVIEW】Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム

Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム (著)山脇伸介



Facebookの生い立ちや基礎知識、魅力やリスクまで丁寧に説明されており、この一冊でメディア特性がつかめるだろう。
映画「ソーシャルネットワーク」についても触れられており、映画を観た方はさらに理解が深まるはず。
Facebookが社会やビジネス、メディアをどう変えていくかをうらなっており、今後の日本におけるWEBコミュニケーションについて示唆に富んでいる。

著者はFacebookの魅力について、「私の知っている誰か」がフィルタリング=選別して送り出してくれた情報だからこそ、自分にとって重要でまた興味が湧くのでり、そういう情報をより確実に早く獲得できるようにカスタマイズできることだとしている。
例えとして、編集できるヤフージャパンというから、なかなか面白い。

ビジネス面でもFacebookによって大きな変化が訪れようとしている。
Facebook創始者であるマーク・ザッカーバーグが「これから5年以内に、ほとんどの産業はソーシャル化するだろう」と公言したことは有名だ。
本書では、少し前まではネットで検索してもらえるためにはどうしたらいいかを考えていればよかったが、Facebook後の社会では、どうやって顧客のいる場所に入っていけるかが課題であるとしている。

例えば、2010年のニールセンの調査では、モノを買う時に最も信頼している情報源として、友人がトップで約60%、家族が約55%、ネットの商品レビューが約40%となったそうだ。
「顔の見えない関係」と言われ続けてきたネットの世界を、ソーシャルメディアは人と人との直接的な、とてもパーソナルなつながりに回帰させ、「買う」という行為にまつわるプロセスはソーシャル化の中で原点に戻っているのではないかと著者は指摘している。

そしてこの現象を面白い表現でまとめている。
「人々はハイタッチ(人間らしいふれあい)を求めるようにシフトしている。欲しいモノをもくもくとオートマチックに籠に入れて買うよりも、相談したり教えてもらったり、たくさんコミュニケーションして、他人と接触しながら買ったほうが楽しいと、思い出したのではないだろうか。
ハイタッチのすばらしさを一番ビビッドに感じられるのが、実名SNSのFacebookなのだと思う。人は実名では嘘はつきにくい。またいい加減なこともいいにくい。だからこそ、真実味のある口コミにもなり、「いいね!」という共感のサインにもなる。リアルな生活と完全にリンクしているからこそ、強い力をもつのだ。」と。
これはFacebookの特性を十二分に伝えている一文である。

また本書ではFacebookのリスクや、実際に起きた犯罪事件など陰の部分も紹介し、実名SNSだからこそプライバシーを自己防衛するためのリテラシーの重要性も説いている。

映画「ソシャルネットワーク」を観てFacebookに興味が湧いた方、これからFacebookを始めてみようという方にお勧めの一冊。


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