次世代メディアマーケティング (著)ケント・ワータイム/イアン・フェンウィック
2010年最初に読んだ本は、デジタルを原点にしたプランニングを解説したマーケティング本。
インターネット時代にコンテンツがデジタル化される中、従来のマーケティングから転換しなければならないことを説き、デジタルがもたらすチャンスをつかむためのガイドブックになっている。
まず、デジタル時代のマーケティングでは、対象になる消費者をターゲットとはしない。
インタラクティブなコミュニケーションでマーケティングを行っていくため、主導権は顧客顧客にあり、ターゲットは「参加者」として定義される。
企業がターゲットに対して一方的に情報を発信する事は過ぎ去り、今後は企業から発信するコンテンツに、いかに多く参加してもらうかがポイントになってくる。
よって、現在意識されている「広告主のメッセージの一貫性」である統合マーケティング(IMC)は、「消費者の経験の連続性」である統一マーケティングを目指す必要があるとしている。
本書では、デジタルチャネルとプランニングのフレームワークに分けて解説されている。
デジタルチャネルでは、「ウェブ」「メディア広告(ディスプレイ、検索、アフィリエイト、スポンサーシップ)」「バイラルマーケティング」「モバイルプラットフォーム」「ゲーム」「消費者生成コンテンツ」「デジタルサイネージ」「IPTV」が紹介されている。
興味深いのは、メディア広告では、現在ディスプレイ広告であるバナー広告から検索広告へ移行しているが、ネットユーザーが検索に費やす時間は5%にすぎず、それ以外の時間は検索からのランディングページに費やされていると言う。
これは、ディスプレイ広告を利用したコミュニケーションには大きなチャンスがあるということ。
アマゾンでロングテールが当てはまるように、ニッチサイトでのターゲティング広告は特にチャンスを生み出す可能性が高いと示唆している。
本書の最後にデジマーケティングの対価として挙げている利点を幾つかピックアップ。
・リーチと投資額は必ずしも相関しない。人々の興味を引くコンテンツがあれば、従来メディアを利用するよりもはるかに多くの顧客とつながることができる。
・消費者と直に対話できるため、消費者にニーズや嗜好に関する情報を入手しやすい。情報の質も高い。
・消費者がブランドに積極的に関与してくれるため、ブランドに対する人々の情熱を活用できる。
企業マーケティングにおいて、マスメディアやセールスプロモーションだけではなく、デジタルコンテンツを活用したインターネットマーケティングが必要であることが既知の中、マーケティング業務に携わっている方は必読の書であろう。
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