Twitter社会論 (著)津田大介
Twitterの今日に至るまでの軌跡と、Web内でのポジション、社会とのかかわり方などを読みやすく解説している。
本書を読むと、Twitterは企業マーケティングにより普及したものではなく、高いユーザビリティをベースにユーザー発信で広がっている事が分かる。
本書の中で興味深かった点は、今後政治的利用が懸念されるということ。
オバマ大統領が選挙でのTwitter活用は周知のことだが、その他の政治利用に下記の例がある。
旧ソ連のモルバド共和国では、学生や活動家達によるTwitterを通じて反共産党のデモに誘い多くの市民を蜂起させた。
またイランの大統領選挙では、国外への厳しい情報統制の中、政府に対する抗議運動がTwitterを中心に国外にも発信され国際問題に進展した。
これらはTwitterが民主化運動に寄与した事例だが、礼賛するのは危険だと著者は指摘している。
それは情報の正確性が不透明なため、意図的に情報操作しサイバーテロ化してしまうことも考えられること。
そして情報が公開されているため、敵側は事前に対策を立てやすく、内部情報を錯綜させる扇動やコントロールなどの諜報活動も行いやすいからである。
それらを踏まえた著者の印象深い一文がある。
イランの情報統制や民主化運動への暴力的弾圧が事実であるなら、それは国際社会として非難すべき事ではあるが、同時に政治的意図を持って特定の情報流通を促し、歓迎する勢力があることも忘れてはならない。
これは各メディアに通じる問題ではあるが、Twitterはその問題を無視できない存在になりつつあるということがわかる。
速報性の高い情報に対しては、より、自分で取捨選択できるネットリテラシーや慎重さをもつことが重要なのだろう。
Twitterを以前から積極的に活用し普及に貢献してきたイノベーターやアーリーアダプターの中には、現在のTwitterブームを冷ややかにみている向きもあるが、iPhoneアプリのようにTwitterの特徴を捉えたインターフェースをもつモバイルクライアントが広がれば、日本のマジョリティに一気に浸透しキャズムを超える可能性は十分にあると思われる。
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