異業種競争戦略 (著)内田和成
本書は、成熟市場の中、業界の枠組みを超えた戦いを、その変遷を紐解きながら、新しいタイプの競争構造をわかりやすく解明し、新たな戦略構築の方法論を提唱している。
業界の枠組みを超えた戦いの例えとして、デジカメの開発によるカメラメーカーと家電メーカーとの競争、音楽配信技術の革新による音楽業界とIT業界との競争、エコや安全の高まりによる電力会社とガス会社との競争など、様々な業界が登場する。
今までは、業界内での競争において、差別化や付加価値などが語られてきた。
しかし、業界の枠組みを超えた競争になると、ビジネススキームや利益構造、さらには目的まで異なる場合があるため、過去のマーケティング理論による戦略構築が成り立たない。
本書では、従来のバリューチェーンの上位概念として取り上げた「事業連鎖」を描く事で、自社を巻き込んで起こるであろう事業再構築や業界融合といった動き、予見される脅威やビジネスチャンスを読み解く事からはじまり、戦い方、ルールとビジネスモデルの革新、そして求められるリーダーシップまでを提示している。
コンサルティング会社出身者でビジネススクールの教授だからか、ケーススタディが多く、リアルさと丁寧な解説さで非常に読みやすい。
現在のマーケットの潮流と、今後のマーケティングの方向性を掴む事のできる良書である。
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