2009年12月20日日曜日

【BOOK REVIEW】行動分析学入門

行動分析学入門 (著)杉山尚子




心理学の中で、行動の原因を解明し行動の問題を解決する「行動分析学」について丁寧に説明した一般用入門書。

行動分析学は、ヒト及び動物の行動を「行動随伴性」という独自の概念によって明らかにするもので、行動の原因を個体内部、つまり心ではなく、個体を取り巻く外的環境に求めていく学問である。
また、欲求や意志のような心は、行動を生み出す原因ではなく、それ自体が原因を求められるべき研究対象とし、心は目に見える行動と同じ原理で制御される行動だとしている。

例えば「勉強しない」「タバコをやめれない」「ダイエットが続かない」などの行動の原因として、「意志が弱い」「やる気が無い」「本気ではない」などと無意識に心の問題として指摘しがちだが、それは原因ではなく行動に対してつけられた「ラベル」でしかないということ。
行動分析学では、「目標設定できていないから勉強しない」「体がニコチンを欲しているから禁煙できない」など、現在の環境要因を原因としている。
そして行動とそれがもたらす効果の関係を、専門用語で「行動随伴性」と呼んでいる。

確かに自分や他人の行動を、単純に心や気持ち、性格の問題として日頃処理してしまいがちである。
しかし行動分析学の視点から、その行動原因の本質を思慮する事も一つの見方として必要だと言う事が分かる。
本書を読む事で、多少柔軟に違った観点で物事を考えられるようになるのかもしれない。


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