経済を動かす単純な論理 (著)櫻川昌哉
「リスク」と「バブル」のキーワードから、経済の本質に迫り、世界経済の動きを丁寧に解説している。
大数の法則により生まれた証券化での「リスク」軽減。
しかし、債権をまとめ大数の法則により証券化する事で金融商品としてのリスクを軽減しても、債権回収の責任が分散化し不良債権リスクは高まったことで、結果サブプライムローン問題はおきてしまった。
またサブプライムローン問題や日本のバブル崩壊のきっかけになった土地バブル同様、紙幣もただの紙切れで、1万円札も印刷コスト数円を差し引いた金額がそもそも「バブル」であるということも分かりやすく解説されている。
貨幣の価値は人々の信頼から成り立っており、様々な要因で信頼が揺らぐと価値は低くなる。
日本銀行は日本の貨幣の価値を保つ事が使命で、金融緩和について慎重になっているのも、インフレにおいて貨幣の価値を落とし貨幣のバブル崩壊の確率を高めることを避けたいからだ。
反対に現在のデフレは、財・サービスに対する貨幣価値の上昇であり、金利の低い投資よりも保有へ動き、日本人が貨幣を持ちすぎていると言うことを認識しなければならない。
そして「バブル」を理解するために、「金利」と「成長率」の大小関係を指摘している。
「利子率<成長率」の時、銀行預金よりも株式や不動産などのバブルの方が魅力的になり保有率が高まるからだ。
本書を読む事で、経済の動きを見る時に一つの指標を持つことができるのではないだろうか。
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