ジャーナリズム崩壊 (著)上杉隆
NHK、鳩山邦夫事務所、ニューヨークタイムズを経て、フリージャーナリストとなった上杉氏が、日本のマスコミ・記者クラブの実態を明かし警鐘を鳴らした本。
日本の政治部記者は記者クラブ制度により、政治家の都合の良い情報ばかりを各社横並びに発信し、国民に真実を報道しない。
政治家との持ちつ持たれつの関係、そして馴れ合いの同業者、第三の権力と言われたメディアのチェック機能が果たされていない事が非常に良く分かる。
また文化や歴史背景が大きく異なるにしろ、日米の記者達のプライドや気概は全く違うことに辟易とする。
事実大手メディアの政治部が日頃接しているはずの政治家や官僚に関わる事項についてスクープするということはほとんど皆無である。
リクルート事件などの大きなスクープは実は社会部からの報道だ。
それは大手メディアのサラリーマン記者がスクープしたら会社にいれなくなる事は目に見えているからだ。
だから、政治部記者は政治家に寄り添い、時には片棒を担ぎ、担当政治家とともに一蓮托生する。
政治部記者たたき上げの読売新聞社主筆のナベツネ氏などは典型的だ。
自身が担当した政治家の参謀となり、またその政治家の弟子達の面倒をみることで、下の世代の政治家達はナベツネ氏に頭が上がらなくなる。
ちなみに、ナベツネ氏は新人時代、鳩山由紀夫総理の祖父鳩山一郎元総理の担当記者として鍛えられたようだ。
その恩義もあってか、ナベツネ氏を中心とする大手メディアグループからは、鳩山由紀夫総理に対して厳しい批判は見当たらない。
しかし記者クラブは大手メディア以外で独占され、政治家の取材を上杉氏のようなフリージャーナリストやネット、雑誌系の記者が行う事は非常に難しい。
これは自由な報道も論争も規制してしまうことになり、国民との情報格差が広がっていく。
是非、上杉氏を中心に記者クラブの解放に向かってほしいところ。
ただ新聞の記事を全国民が信じていた時代は過ぎ、ネットで多くの情報を得、さらには発信できるようになった今、
いずれは記者クラブは時代の必然としてシュリンクしていくのかもしれない。
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