本書は、著者の逮捕から裁判終了までの顛末と、音楽家としての過去の活動や持論を折り込んだエッセイになっている。
借金返済施策第1弾なのか1,300円と高めの設定。
裁判の経過はともかく、著者の音楽に対する戦略や理論、さらには隆盛期の苦悩などは、なかなか興味深かった。
本書を読むと、いかに著者が理論的に音楽とマーケットを捉える優秀なプロデューサーであるかが分かる。
それは「TM NETWORK」をレコード会社に売り込む時点からも発揮されており驚いた。
また、お笑い芸人を「誰もが見落としているが誰もが頷ける現象を、いかにどれだけ集めるかの勝負をしている優秀なマーケッター」と比喩している点も頷ける。
著者も日常の一コマから多くの情報を抽出しようと常に意識しているという。
これらは、マーケティングに携わる多くの人は参考にすべき点だ。
洋楽とJポップの構造の違いを言語から捉えた制作側の音楽論や、著者が意識してきたミュージシャンなど、小室音楽の片鱗を覗き見る事ができた。
再生への道のりは厳しいと思っていたが、本書を読むと今後の小室音楽への期待も膨らむ。
私自身、青春時代に小室音楽を体感し、その音楽に大きな影響も受けているので、復活を応援したいと思う。
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