藤沢氏の金融日記「コインの裏と表のおはなし」に興味深い一文があった。
以下の通り。
「国債を発行して国の借金が増える」と言うのはどうでしょうか?
これの裏側は「民間が保有する国債と言う資産が増える」です。
国債を発行して国がお金を調達すると言うことは、必ずその国債を買っている人がいるわけです。
この国債は当然、その人の資産ですね。
そして日本の場合は、ほとんどの国債が日本人により保有されています。
「借金」と「資産」ではやっぱり全然印象が違いますね。
「国の借金が過去最高」と言うのは「民間の国債保有残高過去最高」と言う意味なのです。
こうやって考えると、国が国債を発行することは「借金が増えるから将来の返済が大変だ」と言うような単純な話ではないことが分かるでしょう。
この中で特に注目すべき点は、「国の借金が過去最高=民間の国債保有残高過去最高」という一文。
現在日本の借金は860兆円以上あり、国民一人当たり670万円と言われている。
一方、国民の個人金融資産は1,400兆円とされる。
この数字を元に、「借金による危機と言われているが実は資産が上回っており安全だ」と言う人達も多い。
しかし本当にそうなのだろうか。
現在日本国債の海外保有率は縮小しており、日銀によると国債の残高は3月末時点で約681兆7,000億円で、このうち海外投資家の保有分は約43兆7,000億円。
9割以上は銀行や生命保険会社など国内投資家が保有しているそうだ。
そしてこの銀行や生命保険会社にお金を預けているのは大多数の日本国民である。
もし遠くない未来に、何かの原因で日本の資金繰りが苦しくなり経営難になった時、日本国債がデフォルト(債務不履行)されとしたら。
国債はただの紙になり、「国の借金は大激減=民間の運用資産も大激減」。
ゆえに、銀行や生命保険会社は破綻する。
もちろん破綻しても、銀行であれば預金保護制度により各銀行1,000万円まで、生命保険会社であれば各保険会社の責任準備金の90%までは保護機構により保障されているが、それ以上のお金は無に帰る。
とは言え、先般の金融危機でのAIGのように、銀行や生命保険会社の破綻は国民に大きな損失を与えるため、公的資金が注入され破綻回避が行われる。
ただその公的資金の元は国民による税金ということを忘れてはいけない。
個人資産が大きく目減りする上、税金ばかり搾取されてしまう。
・・・という、ありそうでなさそうな妄想。
要するにお金とは絶対的な指標ではないと言う事。
今持っている100万円の価値は10年後には80万円になっている可能性もある。
お金は様々な要因で相対的に価値が決まるものだから、一昔前のように国を信頼して日本の銀行や生命保険会社にお金を預けているだけだったり、タンス預金をしているのではリスク(不確実性)が高い。
だからこそ、「外貨」「海外債券」「海外株」(不動産やコモディティなども含み)などに資金を分散運用することを考える必要もあるのだ。
という話し。
見ると気分が滅入りますが。
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