2009年6月24日水曜日

携帯電話禁止条例は可決されるか!?

石川県で「小中学校で携帯電話禁止」の条例案提出

石川県議会で、小中学生に携帯電話を持たせないよう保護者に努力義務を課す「子ども総合条例」改正案が提出され可決される見込みだという。
携帯電話の所持禁止への努力義務を課す条例は全国で初めてだそうだ。
あくまで努力義務なので罰則な無いようだが、規制するのはいかがなものか。

塾などに通い帰宅が遅くなる都心の子供とのギャップはあるとは言え、防犯面、災害面、情報面ともに心配なところ。
そして予想通り世論からも反対意見が続出。
子供の携帯電話やインターネット利用に関する学術研究と教育実践を目的に設立された「ネット安全モラル学会」からは、この
携帯電話禁止条例に対して否決を求める陳情書が発表された。
「情報通信の教育改革の方向と逆行している」「携帯電話利用に関する諸問題は強圧的に解決できない」「情報通信の自由を保障するべき」などの理由で,「同案が否決されるとともに県内でネット安全教育が実施されることを強く願う」としているそうだ。

石川県の条例で一番大きな問題は、携帯電話を使用する事に規制を設けることで、いじめや犯罪を減らそうとしている大人の誤解だ。
問題の本質はいじめや犯罪を減らす事。
子供の頃に携帯電話の無かった親世代にしてみれば、携帯電話は自分達が想像できないいじめや犯罪の温床になっていると思うのは仕方がないのかもしれないが、根にある部分を究明する事が大切なはず。
全く前向きな解決になっていない事が残念だ。

これからを生きる人にとって、リアルとネットの違いを認識して自分の生活に応じてすみ分ける能力が必要なのに、時代を逆行するる対策にも疑問を感じる。
そもそも、いつの時代も大人は根本的な部分を解決する努力から逃げて、目に見える上辺の部分を批判する傾向にある。
世界的な日本文化の一つと賞賛される漫画も、文章を読めなくなるから読むなと批判された。
テレビ、特にバラエティは下品だから教育的に良くないと批判された。
ファミコンも長時間プレイするとバカになると言われた。
そして同じように携帯電話も批判されている。

一方、神戸の私立学校では
生徒に携帯電話を支給する計画もあるとのこと。
記事によると、文部科学省が全国の小中学校における学校内への持ち込みを、高校における校内での使用を原則禁止する要請を通達しているが、学校が生徒に実施した調査によると、92%が携帯電話を所持していることが判明。
この実態に対して「生徒が携帯電話を持っているのはいまや自然な流れ。一律に禁止するよりもルールやマナーを教えた方がよい」として、有害サイトに接続できないよう設定するなどした独自仕様の携帯電話を、生徒に配布する方向で、現在、生徒や保護者との間で協議を進めているというのだ。

また面白いのが、配布する携帯電話は、制服や制帽と同様に「制携帯」として位置づけようとしているところ。
もちろんアクセス制限をあらかじめ設定するのだが、音声機能を使った英会話学習や、自宅学習用の教材を読み込むなど、授業にも役立てられる機能を提供したいとしているそうだ。
校内における授業以外の使用に関しては禁止するそうだが、非常に前向きな解決方法にも感じる。

さらに、緊急時に学園が設置したサーバの記録からメール履歴などを確認したり、GPS機能を活用した位置情報確認システムなども、生徒や保護者の要望に応じて提供できるとしている。
携帯電話を授業にも活用する可能性もあることから、制携帯を用いた生徒間や教師との通話料金を無料とするシステムの導入を検討しているという。

生徒からは「制携帯は使いたくない」という声も一部あるようだが、これは携帯電話を学校に監視されていると感じるからではないだろうか。
社会人もプライベート携帯と業務用携帯を清算や使用を別にする事があるように、すみ分けられれば非常に有効な解決方法になる気がする。

携帯電話が普及し始めて約12〜3年。
携帯電話に不慣れな親世代から携帯電話が当然の子供世代に移る過渡期なのかもしれない。
学生時代から携帯電話を使用している世代が小学生の子供を持ち始める10年後には、このような議論は全く出なくなっているだろう。
そして別側では、携帯電話が飽和している中、キッズ携帯の拡販による家族の囲い込み、学校への法人販売による大型契約は、キャリアにとても大きなビジネスポイントになっていて、遠回しに牽制している所も興味深い。



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