2009年2月5日木曜日

経済・金融の基礎知識④〜投資信託について〜

現在、本屋で平台にススメや仕組みについての本が山積みされているほど、ブームになっている投資信託。
ここでは、その投資信託を整理してみる。

投資信託とは、不特定多数の投資家から集めた資金をひとつにまとめて分散投資する仕組みである。
主な特徴は下記の通り。
●株や債券とは異なり、少額からでも購入できる。
●株式や債券などに分散投資することでリスク低減効果を得ることができる。
●専門家に運用を任せられ、投資経験や知識が無くても手軽に始めることができる。

■募集方法
一般的には、不特定かつ50名以上の投資家に対して申込の勧誘が行われる「公募投資信託」になる。
なお銀行などの適格機関投資家に対して申込勧誘を行う「私募投資信託」もある。

■設立形態(仕組み)
契約型投資信託と会社型投資信託の2つに分類できるが、ここでは一般的な契約型投資信託を説明する。
契約型投資信託は、投資信託委託会社と受託銀行との間で信託契約し、受益証券として投資家に小口販売される仕組みである。
※下図野村証券H.P.参照。

<各社の主な役割>
●販売会社
受益証券の募集の取り扱いおよび売買
収益分配金や償還金の支払の取り扱い
目論見書および運用報告書の交付

●投資信託委託会社(運用会社)
信託財産の運用指示
目論見書および運用報告書の作成

●受託銀行(信託銀行)
信託財産の保管と管理

※会社に例えると、販売会社が営業部、投資信託委託会社が制作部、受託銀行が経理部みたいな感じだろうか。
<情報開示の文書類>
●目論見書
ファンドの概要や投資方針、取り決めに関する詳細が記された文書。
投資信託委託会社によって作成され、パンフレットのようなもので、ファンド購入の前または同時に交付される。

●運用報告書
ファンドの運用実績や今後の運用方針などを報告するための文書。
投資信託委託会社によって作成され、通信簿のようなもので、決算日を迎えるごとに作成される。

■種類
運用対象により、「公社債投資信託」「株式投資信託」の2種に分類できる。
「公社債投資信託」は運用対象に株式を一切組み入れることができない。
また募集形態により「単位型」「追加型」に分類され、「単位型」は運用が開始されてからは追加購入できない。
※下図NIKKEI.NET参照。

■運用スタイル
ベンチマーク(市場平均)に連動することを目標とする「パッシブ運用」と、ベンチマークより高い収益率を獲得することを目標とする「アクティブ運用」に分けられる。
「パッシブ運用」は日経平均株価やTOPIXに連動したインデックスファンドが代表的。
「アクティブ運用」はリターンは大きいが、リスクが高く運用に労力を必要とするので手数料も高い。
アクティブ運用の中でもさらに下記2つのスタイルに分けられる。
●バリュー投資
理論株価より割安に放置されている(PERやPBRが相対的に低い)銘柄に投資。

●グロース投資
成長性を重視し将来の成長が市場平均よりも高い銘柄に投資。

■主な投資信託
●株価指数連動型上場投資信託(ETF)
日経平均株価やTOPIXなどの株価指数に連動するように設定されている。

●不動産投資信託(REIT)
集めた資金を土地や賃貸ビル、マンションなどに投資して利益を追求。

●MMF/MRF
MMFは国内外の公社債に、MRFは高格付けの公社債に合わせてCP、CDなどの短期金融商品を中心として運用される追加型公社債投資信託。
流動性も高く金利も定期預金並みなので普通預金よりお得でもある。

■課税について
普通分配金は株と同様10%(所得税7%、住民税3%)。
ただし分配は配当と異なり、分配金の分基準価額が下がる。
なお、分配金後に基準価額が元本を割った場合には、元本を割った分は儲け分とならない特別分配金となり非課税となる。
利益は株式の売却損益などと損益通算が可能。
※下図大和住銀H.P.参照

現在投資信託は、証券会社のみならず銀行やゆうちょ銀行、保険会社などの金融機関がこぞって販売している。
手軽にでき分散投資できる安心感からかブームとなり、知識や経験が無い多くの人が各金融機関の窓口に行って相談しているが、気をつけたいのは窓口で勧められたまま購入しないこと。
窓口では自社で販売したい関係性の強い商品や手数料が多く取れる商品を勧める傾向にあり、また各商品のリスクについての説明も不十分に感じる。
某大手都市銀行の数社の窓口で相談したことがあるが、こちらのマネープランを問うようなコンサル的なことも無ければ、こちらから質問しても曖昧だったりと、脆さを感じる。
終いには「お客様金融関係にお勤めですか。お詳しいですね。」と言われる始末で、困ると裏にいる上司を呼ぶなど、プロフェッショナルとしての自覚が疑われる。
まずは、リスクの把握と自身のマネープランを構築することから始めることが望ましい。


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