2009年2月2日月曜日

経済・金融の基礎知識②〜債券について〜

今回は金融危機で増え続ける債券について整理してみる。


債券とは、国や地方公共団体、事業会社等の債券発行者(発行体)が投資家から資金を借りたことを明示する「借用書」である。
発行体は投資家に対して元本の返済と利息の支払を約束しており、原則としていつでも時価で売買することができる。
国債は国が保障している借用書でもあるため信頼度が最も高い金融商品とも言える。


■債券の種類
公共債(国債・地方債など)、民間債(社債・金融債など)に分けられる。
また、一定期間ごとに利息受取できる利付債、額面よりも低い価格で発行され償還時の差額が利益になる割引債がある。
なお既発債の売買時、前回利払い日の翌日から受取日までの日数に見合う利息相当分を買い手は売り手に支払う。
※下図は新光証券のH.P.より参照。


利回り計算は下記の通り。
{1年あたりの利益(表面利率)+1年あたりの儲け(売却費−購入費)}/購入価格
応募者利回り
 ={表面利率+(額面−発行価格)/償還年限}/発行価格

最終利回り
 ={表面利率+(額面−購入価格)/残存期間}/購入価格

所有者利回り
 ={表面利率+(売却価格−購入価格)/所有期間}/購入価格

■債券投資の主なリスク
●金利変動リスク
金利の変動により債券価格が変動するリスク。
金利が低下すれば債券価格上昇、金利が上昇すれば債券価格下落。
短期債よりも長期債の方が、償還期日までの期間が長い分不確実性が高まるので、金利変動リスクが高い。
また表面利率が高い債券よりも表面利率が低い債券の方が、利息が長い分収益性全体の売却益や償還差益に対する依存度が高くなるので、金利変動リスクが高い。

●信用リスク
債券の発行体が経営破綻になり投資金額が回収できなくなるリスク。
格付がBBB格以上の債券は投資適格債、BB格以下の債券は投機的債券。

●途中償還リスク
債券が途中償還されることにより、債券利回りが当初想定していたものよりも上下することや、償還金の投資先を再度検討しなければならないリスク。
※他に流動性リスク、カントリーリスク等がある。

■主な公共債
●利付国債
最も発行されている国債。額面金額は5万円単位で固定金利。

●個人向け国債(10年償還)
額面金額は1万円単位。変動金利で1年経過すればいつでも換金可能。

●個人向け国債(5年償還)
額面金額は1万円単位。固定金利で2年経過すればいつでも換金可能。

■債券の課税
●利息の課税
支払のつど20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税

●売却益の課税
一般の債券の売却益は非課税。

●償還差益の課税
雑所得として総合課税。(利付債の場合は満期まで持たない方が得)

●割引債の税金
発酵時に償還差益に対して18%(所得税18%、住民税非課税)の源泉分離課税。

日本国債の格付けは、他の先進国と比べると最低水準にあるとされている。
国債は国が保障する最も安全な商品(リスク無し)と言われているが、過去にアルゼンチンが破綻し償還されない国債が出現したこともあるので、100%リスクが無いとは言えない。
また現在の金融危機による円高の進行により、対外債権が急速に劣化しているようだ。
高齢化社会が進むことで歳出が増大し、少子化で歳入が見込めないことで、債務不履行も憂慮されている。

ウィキペディアによると下記の例が示されていた。
年収420万円のサラリーマンが4500万の住宅ローンでマンションを買ったものの、生活費が足りず年間 360万の借金をして暮らしている窮状のようなもの。
※「日本国政府」に対する例えであって、「日本国」に対するものではない。
国債の扱いは、日本国の経営者である政府の経営能力が問われるのである。


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