2009年1月22日木曜日

音楽の価値と価格の狭間に思うこと

世界デジタル音楽販売額が音楽市場全体の20%に


国際レコード産業連盟(IFPI)が1月16日に発表した統計によると、インターネットと携帯電話を通じたレコード会社の2008年のデジタル音楽販売額は、世界で推定37億ドルに達し、音楽市場全体に占める割合は20%に拡大したとのこと。


音楽マーケットで、音楽配信はまだ脅威ではないと言っていた評論家や業界の

意見も今や過去のことに。

売上額の割合が20%であれば、音楽配信がCDより割安であることを考慮すると、購入者数は30%位にはなっているのかもしれない。


ただ残念なのが、IFPIによると2008年に違法に共有された楽曲ファイルは、ダウンロード全体のおよそ95%になる400億を超えると推定されていること。


でも、ここで勘違いしてはいけないのが、インターネットや音楽配信の存在を悪に思うこと。

情報を無料で入手できるインターネットのシステムや、音楽を好きな時に好きな場所で聞くことができる音楽配信は素晴らしく、問題の本質は別。

音楽は情報とは異なる創作物であることにもっと注目すべきである。


農家が米や野菜を作るように、そして製品メーカーが自動車や家電を作るように、音楽はミュージシャンが時間と労力そして愛情を込めて創った商品である。

販売されている商品をただで取得するのは泥棒と同じこと。

商品を得るために対価を払うことは、人類が物々交換を始めた頃からの当然の営みで、需要と供給が成り立つことで文化文明は発達してきた。

音楽配信を活用している人、すなわち音楽が好きな人・音楽の発展を期待したい人こそ、違法行為は慎むべき。


とここまで書いて思うことが一つ。

何故音楽に値段がついているのだろうか、そして均一的なのだろうか。

勉強不足もあり、実は根本的な部分が曖昧。


そもそも音楽は、民族的・宗教的な意味合いが強く、祭りや儀式での使用や、他人を楽しませたり自己満足を得るための表現の一つだったと考えられる。

だから音楽は昔から存在するものの値段と言う概念自体は無かったはず。


もし無形である音楽の販売が、需要と供給の増加により音楽が職業化・流通化することで、成り立ったビジネススキームであるならば、現在音楽が低価格化・無料化に向かっているのは、単純に市場で商品価値が下がっているだけなのではないだろうか。


市場原理に基づき購買者側が対価を決めていくのだから、著作者のために対価を払えと供給側から指摘されても説得力が無い。

規模の経済性からも、インターネットで広く商品が流布されていく時点で価値は下がることになる。


「違法はダメ」「著作権は守ろう」という法律訴求をされ、法律を守ることや公平性を保つこと、そして音楽の価値を重く受けとめつつも、根本的な部分が曖昧だから本音と建前でジレンマを起こしているのかもしれない。


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