日本経済新聞の調べによると、「将来、公的年金をだいたいどのぐらいもらえるか知っているか」との問いに対して、知っていると答えた人は21%にとどまり、79%が「知らない」と答えたそうだ。
さらに衝撃なのが、受給に近づいている60歳以上でも半数近くが、老後の生活費の基礎となる受給額を把握していないとのこと。
これは「知る機会が無いこと」「国に任せておけば大丈夫だろうと言う危機感の欠如」の二点が起因していると思われる。
危機感の欠如は個人の問題として、知る機会が無いと言うのは国の放漫体質によるところ。
「国民皆保険・国民皆年金」制度なのだから、徴収だけではなく給付に関しても細かい配慮を行うべきだ。
「ねんきん定期便」(後述)の予定もあるが、義務教育での授業課程や、教育テレビでの講座、本日開催されている成人式等に社会保険制度教育を導入すべきであると強く思う。
さて肝心の年金についてだが、必ず加入しなければならない公的年金として「国民年金」「厚生年金」「共済年金」の3種類がある。
「国民年金」は全国民共通の年金制度で基礎年金とも呼ばれている。
「厚生年金」は民間企業の被用者等が「国民年金」の上乗せとして加入する制度、「共済年金」は公務員等が「国民年金」の上乗せとして加入する制度となる。
公的年金以外にも、現在普及し始めている「企業型確定拠出年金」等の企業年金、自営業者向けの「国民基金」「個人型確定拠出年金」等の私的年金もある。
ここでは日本経済新聞のアンケート結果から、国民年金と厚生年金の老齢給付について簡単に整理してみる。
<老齢基礎年金(国民年金)>
●受給要件
25年以上の公的年金加入実績が必要。
※原則として加入期間合計が25年未満の場合、老齢基礎年金は全く受給できない。
●受給期間
原則65歳に達した月の翌月から死亡した月まで一生涯にわたり受給。
●年金額(平成20年度価額)
国民年金に40年間加入した場合は満額「792,100円/年」。
※加入可能年数より保険料納付期間が短い場合には応じて減額。
<老齢厚生年金>
●受給要件
老齢基礎年金の受給要件(25年以上)を満たしている事、かつ1ヶ月以上の厚生年金加入期間があること。
●受給期間
老齢基礎年金同様。
※年齢により特別支給の老齢厚生年金もあり。
●年金額(平成20年度価額)
厚生年金の加入期間中の報酬と加入月数を基準に計算、「平均標準報酬月額×乗率×加入月数」となる。
ただし、平成15年3月以前は主に月給から保険料を徴収していたが、4月以降は月給だけでなく賞与からも徴収することになったため、正確には下記の通り。
「平成15年3月以前の期間分(1)+平成15年4月以降の期間分(2)」
(1)=平均標準月額×7.5/1000×平成15年3月以前の加入月数
(2)=平均標準月額×5.769/1000×平成15年4月以降の加入月数
※乗数は昭和21年4月2日以降の場合
社会保険は随時制度変更もあるため、年代によって加入とみなされる期間や受給期間、受給金額など異なるので要注意。
上記は概要なので詳しくは厚生労働書のホームページ等をきちんと確認してほしい。
国は今年4月より、加入実績に応じた年金見込額、厚生年金の標準報酬月額などが記載された「ねんきん定期便」を全ての被保険者に送付することにした。
また2011年には定期便の内容をネットで閲覧できるようにもなる。
今更ではあるが、これで国も知らせることを義務として遂行することになった。
私達も、毎月年金支払として国に数万円徴収されていることは、いわば国に自分の稼いだ金を貸しているということ。
当然大人として返済額(受給額)を知ることも義務と感じたいところだ。
最後に、少子高齢化に伴い社会保障制度の破綻が叫ばれていることについて。
現在、年金徴収額も増加傾向にあり、平成20年度の国民年金保険料は「14,410円」だが、平成29年度は「16,900円」になる予定。
そして年金の財源を消費税の増税で賄うと言う話しも出てきている。
ただ逆に考えると、大くの資産を保有している高齢者が大勢死亡する事により、相続税や贈与税も今後より一層増えてくるのも忘れてはいけない。
収入や資産の格差が大きくなっている今、国民全員が負担する消費税より、相続税を改定して金持ちを対象に増税を図った方が良いのではないだろうか。
資産家である政治家や官僚が制度を決定することを思うと無理なのかもしれないが。
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