2008年11月4日火曜日

敷金ゼロは疑ってかかれ!

敷金0、礼金0の“ゼロゼロ物件”に落とし穴 


若者などに人気がある、賃貸住宅で敷金ゼロ、礼金ゼロの“ゼロゼロ物件”。
その“ゼロゼロ物件”で、貸し手(賃貸人)と借り手(賃借人)の間でトラブルが絶えないとのこと。
記事によると、賃借人が家賃滞納などした時に、家賃とは別に追徴費用が発生したり鍵を交換されたりもするらしい。

敷金は、賃料支払や賃貸住宅を滅失・損傷した場合の損害賠償などを担保するためにある一時金なので、通常は賃料不払いがあったときには、この敷金を賃料に充当する事ができる。
しかし“ゼロゼロ物件”の場合には、それができないからトラブルになりやすいのだろう。

通常賃貸では「建物賃貸借(借家権)」という規定があり、賃借人はいつでも解約の申入れをすることができる。(なお賃借人の申入れからは3ヶ月、賃貸人の申入れからは6ヶ月が経過した時に契約が終了。)
また、賃貸人からの解約の申入れや更新拒絶の通知は、正当事由(立退料など)が必要。
これは登記が無くても建物の引渡しがあれば有効で、例えば賃貸後にその建物を取得した第三者が表れても対抗できるようになっている。
以上の規定があるため、賃貸人は賃借人が多少家賃を滞納しても、面倒が多く現実的に追い出す事は難しいはず。

しかし今回の騒動では、契約書にて、賃貸権はなく居住権もない「施設付鍵利用契約」だったり、別名目の支払義務が記載されているため、通常に比べ賃借人が不利になっている場合が多いとのこと。
入居者が法に無知なことにつけ込んでいるのではと指摘されているのも頷ける。

一方、貸す側にすれば担保がないため、家賃滞納や退去時に厳しくせざるを得ない事情があるのも当然。
賃貸物件の大家には固定資産税がかかるし、物件を建築したローンを抱える人もおり、これらは家賃を滞納されても払わなければならず、下手すると破産しかねないからだ。

賃貸人も賃借人も生活がかかっている。
お互い決められたルールを守るのは社会で生きていく上では必要というのが結論ではあるが、最後に“ゼロゼロ物件”の問題を2点指摘する。

一つは、甘い話しは疑ってかかれと言う事。
賃貸人は儲けたくて敷金を徴収しているのではない。
多くの賃貸住宅が敷金性にしている意味を考えれば、“ゼロゼロ物件”に生じるデメリットやリスクを感じられるはず。

もう一つは、“ゼロゼロ物件”のビジネススキームのリスクについて。
入居の間口を広げる余り、滞納が予想される経済状態の人まで安易に入居させてしまっているということ。
審査が甘く、収入に見合わない賃借人が入居してしまった結果、滞納が増えているのだ。

後者のビジネススキームの改善を願うが、まず自身がトラブルに巻き込まれないためには、きちんと知識と危機感を持ち合わせることが必要ということですね。


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