2010年11月21日日曜日

【BOOK REVIEW】ソーシャルメディア維新

ソーシャルメディア維新 (著)小川浩、小川和也



本書では、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアが、現在インターネット会のトップに君臨しているGoogleを凌駕し、今後インターネット勢力図を塗り替えるであろうと訴えている。

その「検索エンジン対ソーシャルメディア」とは「ハイパーリンク対ソーシャルグラフ」のコンセプトの重要度の戦いだとしている。
「ソーシャルグラフ」とは、ユーザーとユーザーの人間関係はもちろんのこと、興味の矛先であるモノとヒトとコトの関係性など、さまざまなオブジェクト(物、目標物、対象)とサブジェクト(主題、題名)の関連性のことらしい。

具体的には、ソーシャルストリームを引き起こすハブになっているタイプとして「Facebook」「Twitter」「Ustream」を、主にコンテンツを発生させるタイプとして「YouTube」「Blog」「Flickr」「ブックマーク共有サービス」を、ソーシャルストリームを利用して自社を活性化させている借用タイプとして「グルーポンなどのソーシャルコマース企業群」を挙げている。

著者は、Facebookが最終的に目指しているのは「人間関係を基盤とした検索エンジン」の確立であり、Googleの検索ではカバーできない人間の頭の中の暗黙知を引き出すのが狙いだとしている。
集合知に対する暗黙知というのは、なかなかうまい対比である。

また、一般のネットユーザーが検索に費やす時間はネット利用時間のうちのわずか5%程度で、残りの95%の時間を目的サイトで消費しており、Facebookはユーザー数の伸びと比例して平均滞在時間も倍増しているため、広告媒体としてもGoogleより価値が高くなる可能性を秘めていると指摘。

さらに、ソーシャルメディアと親和したEコマースである「ソーシャルコマース」が成長しており、Facebookの膨大なソーシャルグラフ(ユーザー同士のつながり情報)を有効に活用できれば、ECサイトへの流入経路としてGoogleを超えるポテンシャルがあるという。
90%の人々が知人による推奨を信頼すると言う調査結果からも、FacebookのLikeボタンは購入を促進し合うための強力な手段となり、これはユーザーが欲しいもの能動的に検索するGoogleでは生み出せない需要であるとも指摘している。

FacebookやTwitterは、ほぼリアルタイムで情報がWebにアップロードされ、それらの情報が凄まじい勢いで共有されるので、その速度はGoogleの検索用インデックスの処理速度をはるかに超えてしまっている。
そのためやむなくGoogleは巨額の対価を支払うことで、Twitterを直接インデックスするための提携を行い、FacebookやMyspaceとも同様の契約を行わざるをえなかったという。

現在日本ではFacebookに参入する企業も増えてきたが、まだ流行る流行らない論争をしている段階だ。
しかし本書を読むとFacebookのポテンシャルの大きさを感じずにはいられない。


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