2010年1月24日日曜日

【BOOK REVIEW】鳩山由紀夫の政治を科学する

鳩山由紀夫の政治を科学する (著)高橋 洋一 ,竹内 薫



バカヤロー経済学の第2弾。

実は、鳩山氏は東大からスタンフォード大学に進み博士号を取得したバリバリの理系出身者であり、政治家になる30代後半までは東京工業大学助手、専修大学経営学部助教授と学者をやっていたという一風変わった経歴を持つ。
確かに今までの経済学や法学などの文系出身と比べると雰囲気は異なっているし、言葉の表現力に欠けている所は学者肌だからかもしれない。

その理系出身の鳩山政治と民主党の政策を、竹中元大臣や安倍元首相のブレーンであった高橋氏とサイエンスライターの竹内氏という理系出身の2人が対談形式で分析していく。

民主党は先の選挙で、自民党と異なる政策を打ち出し圧勝したわけだが、やはり政策の裏には自民党支持団体叩き、民主党支持団体の優遇などが見受けられ、非常に興味深い。
例えば、民主党支持団体である日教組と対立している文科省、自民党族議員と癒着している国交省、農水省、厚労省は叩く対象にされており、予算の削減などが行われている。
逆に財務省や経産省は政策予算の融通のために擁護されているとのこと。
現に首相官邸は財務省からの出向者だらけのようだ。
また政治主導の演出と言われる事業仕分けに関しても、財務省が作成したマニュアルを見ながら査定していたというからガッカリである。

本書によるとに鳩山政権にとっての国民目線とは、支持層である「日教組」「自治労」「パチンコ業界」「一般の浮動層」となる。
その国民に対する政策としては以下の通り。

日教組に対しては文科省にお金をあげない事、そして文科省を飛ばして日教組(+子供のいる家庭)に対してこども手当をばらまく。
自治労に対しては地方分権をしない事、自治労(+地方公務員・組合系団体)に対して交付税の割増。
在日占有率の高い「パチンコ業界」に対しては外国人地方参政権を付与する事、ただしこれは政治的な問題もありすぐに実行されない。
そして「一般の浮動層」に対しては自民党との違いや生活が良くなることを徹底的にPRし、具体策として社会保障制度が順次実行されていく。
これらが鳩山政権の基本構造となっているとしている。

民主党になって何が変わったのか、何をやろうとしているのかは、メディアで報道される表の部分だけではなかなか理解できない。
本書は政策の表と裏を科学する事で、鳩山政権の戦略をザックリ理解する事ができる良き政治参考書となっている。






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