2009年7月5日日曜日

【BOOK REVIEW】バカヤロー経済学



物理学者でサイエンスライターの竹内氏が対談形式で経済の仕組みをレクチャーした入門書。
経済学についての難しい説明ではなく、最近の経済情勢踏まえながら分かりやすく解説している。
例えば経済の仕組みにあわせ、政治家や官僚の利害、税金と政治のカラクリなど、様々な「バカヤロー」エピソードも書かれているのだ。

現在、小泉・竹中改革で築いた歳出削減や、郵政民営化などが、保守派によって大きく後退しつつある。
選挙前になり、郵政票が欲しがる郵政族の政治家や、建設関係者の票を欲しがる道路族の政治家、さらには農家などの票を欲しがる農林族の政治家達は、利権を守りたい官僚達と手を組み、様々な枠組みと予算案を決め、この厳しいご時世にもかかわらず、無駄な事ばかりに税金が投入されている向きがある。

政権も自民党vs民主党といった二大政党での争いにフォーカスされるが、ニュースで報じられているように、自民党保守派と民主党幹部では、郵政民営化を後退させる事で一致しているし、結局大きな政府を目指しているように見受けられる。

本書のコラムに、現在の選挙制度だと数学的にも政党は2つに収束されるというのが興味深い。
政治家は当選しないとスタートできないのだから、意見が違ったとしても自民党や民主党などの大きな党に属して、まずは当選確率を上げた方が良いと言う事になる。
結局の所、同じ党内でも派閥や個人によって政策に対する考え方が全く異なってくるのである。

下記の図は本書から抜粋した「政策志向見取図」だ。


上げ潮派は、財政再建するためにはまずは歳出削減や埋蔵金を使用し借金を減らす事を目指し、財政と経済の建て直しを同時に行おうとしている。
かたや財政タカ派は、借金を埋めるためには増税するという考え方。
歳出削減するよりも増税した方が、政治家や官僚は辛い思いをすることなく、自分達が自由に使えるお金が増えるわけだから、保守派の政治家や官僚には指示されるわけだ。
そして政治家や官僚から受注している企業や、国からの税金(交付金)に頼り切って自分達で何とかしようとしない経営能力の無い地方自治体は喜ぶのだ。

小泉政権時は上げ潮派が台頭していたので、地方自治体は格差と叫び、郵政族や道路族の保守派の政治家は自身の選挙区に流すお金が減り大きな顔ができず、地盤を持たない若い政治家達が当選する事もできた。
しかし、その後利権を失った側からの逆襲が始まる。
安倍元総理大臣が総理大臣就任時に発覚した年金問題や、中川元大臣の酩酊会見など、官僚側が仕掛けた大きな罠が見え隠れする。
ともに小泉路線を行く上げ潮派だからだ。
保守派の鳩山兄弟も、官僚や保守派のメディアの力を借り、影響力を見せ始めている点も現在の潮流だろう。

しかしなんだかんだ言っても、「何が良いのか」「誰が良いのか」、それは国民が選挙で決める事。
新聞や週刊誌などのメディアによる情報操作、テレビに出る御用学者や御用ジャーナリストによる発言、そして政治家のパフォーマンスなど、プロパガンダ的言動は蔓延しているものの、世の中の作り上げられた雰囲気に流されず、近く行われる解散総選挙に臨みたいところ。
その上でも本書は、数ある考え方の一つを示唆してくれる一冊である。
選挙前にこそ読んでみる価値があるのではないだろうか。


0 件のコメント: