2009年11月19日木曜日

CDのプライベートブランドは成功するのか

「TSUTAYA」もPB展開、レコード会社と合同で999円CDを60作発売

記事によると、TSUTAYAがユニバーサルミュージックと先日事業売却でニュースになったビクターエンタテインメントと組んでプライベートブランド(PB)の自主企画CDを発売するとのこと。

第1弾ではカーペンターズやスティービー・ワンダーなど洋楽アーティストのベスト盤60タイトルが1枚999円で発売されるそうだ。
輸入盤でも安くて1,500円位だから、相当お買い得感がある。

メーカー側は「TSUTAYA独占で販売することにより、近年レコードメーカーが直面している初回出荷数の低迷を解決、全国津々浦々への商品提供の強化を実現しました。レコードメーカーと小売がお互いの課題を一緒に解決することによって、エンターテイメント業界全体の強化、そして、幅広い年齢層の購買力の強化と集客力アップを図ることも可能になります」と説明している。
また今後は、邦楽アーティストでのTSUTAYA独占のPB商品の販売も予定しているとのこと。

HMVと新星堂が小売り同士の合併によりシナジーを生み出すことを目指しているのに対し、TSUTAYAはメーカーとの協業を選択した。
まさしく先日のエントリーで想定した選択である。

しかし、CDのような創造性の高い商品でPBはどこまで成功するのだろうか。

まず正攻法として考えられるのは、「R30」や「クリスマスソング」のような既存曲のコンピだろう。
特にTSUTAYAのように全国で1,000店以上展開している大規模チェーン店であれば、多くの消費者ニーズやウォンツを把握し製造業へボトムアップすることができる。
また販売数と製造数のコンセンサスが図れるので、費用対効果も高い。
よってPB商品として最も適した商材である事は間違いないだろう。
事実、今回TSUTAYAもベスト盤のタイトルのリリースから始めている。

次に新曲についてはどうだろうか。
消費者のニーズに沿った音楽を創ると言うのは、一瞬違和感を感じてしまうだろう。
何故なら音楽はアーティストの感性で生み出す創造物だからだ。
しかし小室哲也氏や秋元康氏のように、マーケティングを元に音楽を生産している場合もある。
小室氏は自伝で綴っているが、理論的に時代と音楽とマーケットを見つめ、音楽創作に活かしている。
先見の明があるマーケティング能力の高い音楽プロデューサーと組む事で、新曲についても十分にPB商品が成功する期待が持てそうだ。
特にテレビやイベントとのタイアップ曲や企画物に関しては親和性が高いだろう。

遂に今回TSUTAYAは、販売店と言う「コンベヤ」の立場から、製造側である「コンテナ」領域へ踏み込んだ。
軌道に乗り始めたら、先述の通りアーティストと組み、PBから新曲を出すのは間違いないだろう。
そして、TSUTAYAは権利元となる「コンテンツ」の立場をも包括する事になる。
そうなった時、ユニクロやABCマートがそうだったように、垂直統合型でオフラインの音楽販売シェアを高めるTSUTAYAは、業界の雄として君臨するかもしれない。


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