脱広告・超PR (著)山田まさる
PR会社の社長である著者が、従来の広告やPRでは消費者に情報が届かなくなっているとし、双方向型のコミュニケーションと情報の連鎖的な伝達で消費者を動かす手法(連鎖型IMC)を提唱している。
マスメディアでの広告よりもインターネットでのコミュニケーションが消費者の心を動かすようになってきた今、戦略的なPRの取り組みが非常に重要であることが分かる。
そのPR方法に向けて、インターネットの仕組みや現代の消費者行動を解明し、ケーススタディを取り入れながら具体的に説明しており、とてもわかりやすい。
著者によると、PR戦術は「ニュースリリースの作成と発信」「報道資料の作成」「記者発表会」「取材ツアー」「メディアキャラバン」など30年近く進化していないという。
今後は、ブロガー対策やSNSの活用、ブログパーツなど配信ツールの開発で、ウェブやモバイルを活用したコミュニケーションに進化させ、PRのクオリティを高める必要があるとしている。
またクチコミPRを行うにあたり、マスコミとクチコミの協奏が“ざわめき”を起こし、大きなうねりへと波及し連続的なコミュニケーションが生まれるとし、マスメディアもPRの重要なメディアとして位置づけている。
事実、ネット検索キーワードの70%、モバイル検索では80%がテレビ番組で発信された言葉だそうだ。
インターネットの世界では、企業発信の情報よりもSNSの日記や比較サイトのレビューなどの方が信頼性が高い場合も多く、話題やポジティブ評価を創出させるためにも、クオリティの高いPR戦略が求められてくる。
しかし「Webのしかけ方」のエントリーでも書いたが、インターネットに不慣れな企業の広報・宣伝の担当者は多く、実際に自身でCGMメディアやツールなどを使用しないこともあり、WebPRの重要性に気がつかない。
そしてPRというとタダでメディアに情報を掲載してもらうことに傾倒している節がある。
しかし情報過多の今、マスメディアでの情報発信は消費者の記憶に留まらない。
その話題が発信された後、いかにターゲットに対してコミュニケートされているかが重要で、そこまで辿り着くための手法が、WebPR戦略なのである。
広報や宣伝部門にて、「テレビ担当」「雑誌担当」「インターネット担当」などメディアによる分業化はありがちだが、コミュニケーションは一つの線で結ばれているのだから、WebPRのリテラシーを高め、始点から終点まで一貫した戦略・戦術を考えるべきだと考える。
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