2009年10月7日水曜日

広がるアンケートリリースの効果のほどは?

PRの基本的な施策にプレスリリースがある。
これは広告と異なり、メディアからニュースとして間接的に情報発信してもらうことで、信頼性の高い情報を安価に発信できるメリットがある。
ただ、必ずメディアが情報を発信してくれるとは限らない。
話題性が無ければメディアは採用してくれず、プレスリリースは世に出る事無く埋もれてしまう。

そこで、メディアや消費者に興味をもってもらうような戦略的なプレスリリースの一つとして、アンケートリリースが広がっている。
アンケートリリースとは、自社で調査したアンケート結果をメディアに向けて発信するプレスリリースの一種。
企業発信ではあるが、情報は消費者の声を反映しているため、世論として受け取ってもらえるので、新しいライフスタイルを提案しながら潜在的な需要を喚起する事ができる。
商品やサービス、さらには市場の存在に気づいてもらい、興味関心や空気の醸成を行う場合に有効な手法だ。
よく言えば空気づくり、悪く言えば統計のトリックによる啓蒙といったところか。

例えば本日ニュース配信されていた「20~40代のビジネスパーソンに聞く、平日に楽しみたい贅沢は?」といったアンケート記事は典型的である。


これは森永乳業がビジネスマン向けにアイス製品の需要を喚起するために作成されたもの。
ビジネスマンに「平日のちょっとしたぜいたくとはどのようなことか」をリサーチし、「デザートやアイスなどのプラス一品」という回答が最も多い事を示し、「ちょっと贅沢したい時にはアイス」ということを啓蒙し、ライフスタイルの提案とともに需要を喚起している。
もちろんアンケートは、あらかじめ狙った回答が出るような質問や回答選択肢が練られ、戦略的に行われているのだ。

また先日配信されたそHMVのアンケートリリースも同様。
音楽と職場に関する意識調査を行い、「音楽を聴くと仕事の能率が上がる」「仕事場で好きな音楽を聴けたらいい」という回答から、20代、30代の仕事で忙しい人も音楽は欠かせないということを提示している。


またシーン別に聴きたい曲を調査しアンケート結果を提示する事で、音楽が心の栄養剤である事を訴求している。
これは、現在HMVがWebサイト上で展開しているシーン別音楽提案システム「
タグタイル」のPRも含んでいるのだろう。
立地に関係の無いEコマースの強いHMVだからこそ、社会人をターゲットにしたPRが有効になってくる。
ニュースを見た消費者は再度音楽に関心を持ち、その時にHMVが頭に浮かび、PCから購入できるというストーリーが見えるからだ。

しかし、これらのアンケートリリースは一体どこまで効果があるのだろうか。
確かに今まで通りのプレスリリースでは情報が氾濫するWebメディアにて、なかなかピックアップされないわけだから、戦略的にメディア側がピックアップしやすく消費者が興味を持ちそうなアンケートを活用するということは間違っていない。
ただ、消費者の心にどのていどアンケートリリースの意図が届いているのか、また企業名が刷り込まれているのかは謎である。
事後の効果測定にて、メディアで配信された数、配信後のCGMでの伝達度、またはキーワードの検索数、広告換算などを行うのだろうが、PR会社が作成するレポートに非常に興味がある。


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