2009年9月23日水曜日

遺伝子治療への期待


色覚異常の中で最も多い赤緑色覚異常は、日本人では男性の20人に1人、女性の500人に1人と言われ、日本全体では300万人近く存在する。
300万人と言ったら京都府や広島県の人口よりも多いことになる。
またアメリカで約350万人、中国では1300万人以上、インドでは約1600万人に上るという。

今まで色覚異常は親の遺伝によるもので、治らないとされてきた。
(一部では治療として多額の費用を患者から搾取したクリニックもあったようだが医学的に認められていない)
メンデルがエンドウ豆で発見した法則のように、色覚異常も遺伝学的に下記の通り発症割合は決まっているとされる。


しかし、今回サルの動物実験により色覚異常が治ると確認されたことは、将来的に人間の視覚が遺伝子治療での改善に期待がもてる喜ばしいトピックである。

色覚異常はほとんど目の機能に問題は無く日常生活に不便は無いが、以前は大学や企業で入学制限・入社制限を課すなど、精神的な重荷になっていたケースもある。
当然のことながら、現在でも色別判断が職務上の弊害や事故につながる可能性をもつ業種では規制がある。
例えば航空業界、医療関係の一部、薬品の取り扱い、電気工事などだ。
ただ警察官採用試験で、交通職務への弊害と言う理由で、自治体により色覚異常者は採用は難しい場合があるそうだが、多くの色覚異常者は運転免許を取得する事ができるのだから、これは少し行き過ぎだと思われる。

遺伝子治療は、これらメンタル面の不安解消もさることながら、社会的弱者の減少、福祉や医療システムの変革など、大きな転換になるからだ。
もちろん、片方では遺伝子操作による倫理的懸念も忘れてはならないが、先天的な異常、または病気や障害の改善につながる遺伝子治療の進化に期待したいところ。

ちなみに、ミクロネシア連邦のピンゲラップ島では、12人に1人を全色盲が占めるそうだ。
昔島を襲った台風で人口が20数人にまで減り、その生き残りに全色盲者がいたため、孤立した環境で近親婚を繰り返した結果、全色盲者の割合が高くなったことが理由とのこと。
ただ、色盲者は暗い場所で微妙な明かりを見分ける特殊な視力を持っているため、ピンゲラップ島では、色盲の人々は月明かりの下でトビウオを捕まえる極めて優れた漁師なのだという。
一般的にネガティブで受け取られている色覚異常が、ここでは生きていくための強力な武器になっている。
これは、環境によっては、活躍できることを示唆しており、興味深いエピソードである。


0 件のコメント: