2009年3月29日日曜日

【BOOK REVIEW】世界がわかる理系の名著

世界がわかる理系の名著 (著)鎌田浩毅



京都大学で受けたい授業No.1の名物教授と言われている著書が、理系の歴史に革命を与えた書物を紹介した本。
original blogで紹介されていて、理系出身の私としては読まねばと言う使命感?もあり購入。

主に、生物学、物理学、地学の書物に分類され、書物の紹介に併せて、著者(研究者)の人物像やエピソード、教訓などが綴られている。

個人的に関心を持ったのはやはり物理学。
ここでは、ガリレイ、ニュートン、アインシュタイン、ハッブルの4名が紹介されている。
その中で、アインシュタインは物理学以外に関しては頭を使おうとはしなかったというエピソードが興味深い。
他の科目は一切勉強せず、意識的に物理学のために大切な時間を使ったという。

私自身小学生の頃、手塚治虫の漫画で説明された「アトム博士の相対性理論」「アトム博士の続相対性理論」という本を何回も読み、光と時間と質量の関係などに心ときめき、その頃から宇宙学や物理学の道に進む事を考えていた。
当然ながら自身の大切な時間を物理学に捧げる事はできなかったし、そのように考えた事もなかった。
自分が進む道のベクトルの軸と強さがなければ研究者には向かないということでもあるが、この事は仕事においても通じるようにも感じる。

また本書に登場している研究者の超越している点は、政治や宗教、階級制度など、言論や思想の自由が認められていない様々な時代背景で生きながらも、自身の五体で確かめ確信を得た事に関しては何事にも屈する事なく提言を貫いた事。
ただ生きている間に認めてもらえなかった者も多くいるのは残念なことではあるが、こんなエピソードもある。
天動説が当然の時代に地動説を唱えたガリレイは宗教裁判にかけられたのは有名な話しだが、実は研究者でありながら政治的立ち回りに長けていたため、処罰されずなんと78歳まで生きたそうだ。
同じ研究者でも、研究にのみ精力を注ぐ者、ネゴシエーターだった者、弁がたつ者、文才があり本で評価された者など、表現方法に個性があるところが人間らしく素敵な一面でもある。

研究内容やその研究成果については深堀していないので少し物足りない気もするが、簡単な伝記として気軽に手にしてほしい本。


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