2009年2月7日土曜日

経済・金融の基礎知識⑤〜外貨建商品について〜

ここでは、金融危機による一時的な円高で関心が高まっている外貨建商品について整理してみる。


■外貨預金
円を米ドルやユーロなどの外国通貨(外貨)に交換して行う預金。
預金利率は、通貨を発行している国の金利水準に応じて決められる。
預入時よりも引出時の為替レートが円安になると、円での受取額が多くなるので「為替差益」を得、円高になると円での受取額が少なくなるので「為替差損」を被る。
円と外貨の取引時にはTTS、TTBという為替手数料が含まれた交換レートを用いる。
外貨預金の預入時と引出時の仲値に変動が無い場合でも為替手数料により元本割れを起こす。
※下図はソニー銀行H.P.参照。
●TTS
顧客が円を外貨に換える際の為替レート(銀行が外貨をSelling)

●TTB
顧客が外貨を円に換える際の為替レート(銀行が外貨をBuying)

外貨預金の利息は利子所得として20%(所得税15%、住民税5%)の源泉分離課税。
元本部分の為替差益は雑所得として総合課税され、為替差損は同じ年の他の雑所得から控除できる。

■外国債券
債権の発行体、発行場所、発行通貨のいずれかが外国である債券。
一般的に償還されるまでの期間が1年以上の長期にわたる。
●円建債権
国際機関、外国の政府や地方公共団体、民間企業が国内外で発行する円建ての債券。
または日本の企業などが国外で発行する円建ての債権。
払込、利払、償還の全てが円建てなため為替変動リスク無し。
特に外国の発行体が日本国内で発行するものを「サムライ債」という。

●外貨建外債
国際機関、外国の政府や地方公共団体、民間企業または日本の企業などが国内外で外貨建てで発行する債券。
払込、利払、償還の全てが外貨建てなため為替変動リスク有り。
特に外国の発行体が日本国内で発行するものを「ショーグン債」という。

●二重通貨建外債
利払と償還のいずれかに異なる通貨が使われる債券。
払込と利払の通貨が同じで償還の通貨が異なるタイプを「デュアル・カレンシー債」、払込と償還の通貨が同じで利払の通貨が異なるタイプを「リバース・デュアル・カレンシー債」という。

●ゼロクーポン債
海外で発行されている長期の割引債。払込、償還とも外貨建て。

●ソブリン債
各国政府や政府機関が発行する債券で信用力が高い。

国内債券と同様、利子は20%の源泉分離課税、売却益は原則非課税、償還差益は雑所得として総合課税される。
なお、割引債の売却益は譲渡所得として総合課税される。

■外国株式
外国籍の企業が発行している株式。
●外国取引
証券会社に外国株式の委託注文を出し、外国の株式市場で取引。

●国内店頭取引
外国市場の株価を基準として証券会社と投資家が相対で外国株式を取引。

●国内委託取引
東証に上場されている外国株式などを取引。

配当課税は原則としてまず外国で税金が源泉徴収され、その源泉徴収税額を引いた残りの金額に対して国内で再び10%(所得税7%、住民税3%)を源泉徴収される。
売却益の課税は10%(所得税7%、住民税3%)。

■外国投資信託
ファンドの国籍及び根拠法が外国にある投資信託。
投資対象が外国証券に限定されている投資信託ではない。
●外貨建MMF
海外の高格付の公社債やCP、CDなどの短期金融商品を中心に運用される外国投資信託。
いつでもペナルティ無しで解約でき、外貨預金と比べて同一通貨であれば一般的に為替手数料が安くなっている。
為替差益を含む売買益は非課税。

現在、円高により米ドルやユーロの購入が増えているが、為替変動リスクは高いので注意が必要。
今後の日本の経済成長の鈍化による円の値下がり想定やリスク分散として、ポートフォリに外貨を組み入れることも前向きに検討する必要がある。
ただ為替相場に大きく左右されないためにも外貨建MMFや短い定期預金で流動性を確保することも必要である。


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