2008年12月6日土曜日

水道事情について調べてみた

受水槽に遺体1カ月 三重・松阪の商業施設


三重のショッピングセンターで、水道の受水槽から男性の遺体が見つかっていたとのこと。
施設2階のベランダから飛び降り自殺したとみられ、死後約1カ月が経過していたそうだ。
受水槽の水は発見されるまで、11の飲食店などを含む施設全体で使われていた。
保健所は「水質に異常はなく、健康にも問題ない」としているが、施設内の飲食店は風評被害が広まるだろう。

今回の事件で不思議なのは、飛び降り自殺して受水槽に落ちてしまったこと。
2階から落ちただけで受水槽に穴を空けるほどの衝撃は無い様に思える。 

しかし、ちょっと前の建物だと、むき出しになっている受水槽や貯水タンク(高置水槽)が多く、避雷針、テレビアンテナとともに、マンション屋上では見慣れた光景だった。
でも最近の建物では受水槽や貯水槽の設置が減ったように思う。
そこで、給水について
東京都都水道局のホームページで調べてみた。

■給水方式
まず水道の水は、主に「直結式給水」と「受水槽式給水」のいずれかの方法で、家庭や事業所、学校などに給水されている。 

①直結式給水
水道水の水が、配水管から蛇口まで切れ目なくつながったパイプで給水されている方式。
昔は低層建物のみで使用されていたが、最近は給水管に増圧ポンプを設置し、水圧の不足分を増圧して、中高層階まで直結給水することもできる。

<メリット>
・貯水槽を介さず、直接、新鮮な水が蛇口まで通ずる。
・貯水槽を必要としないため、貯水槽の点検・清掃が不要。
・貯水槽を設置するスペースが不要なため、敷地を有効活用できる。
・水道管の圧力を利用するため、電力を節減できる。

<デメリット>
・水道管工事等で断水する場合には、貯留機能がないため、あらかじめ飲み水等を用意しておく必要がある。


②受水槽式給水
高層建物などで水圧が不足するところや、一時の大量の水を使用するところで、水道の水を一旦受水槽に受け、ポンプで高置水槽に送って給水する方法。
受水槽もしくは高置水槽の片方だけを設置する場合もある。

<メリット>
・水道管工事等による断水時に、貯水槽内に残っている水を使用できる。

<デメリット>
・貯水槽の点検や清掃が不十分な場合、水質が劣化する恐れがある。
・貯水槽へ注水するため、水道管の圧力が解放されてしまい、エネルギーを有効活用できない。


■受水槽の管理点検規準
①定期点検
水槽の清掃は1年以内ごとに1回定期に行うことが義務付けられている。
また、水槽の点検等水の汚染防止のために必要な措置を講ずる。
・水槽にひび割れや水漏れはないか
・周囲に汚染の原因となるものがないか
・水槽内に異物の混入がないか
・ふたは、施錠されているか等

②水質管理
蛇口から出る水の色・濁り・におい・味及び残留塩素など、水質に関する検査を年1回定期的に行うことが必要。
水道法により水道事業者(東京都水道局など)に対し、常に水質基準に適合した水を供給することが義務づけられている。
ただ水道事業者の責任範囲は、給水管(引込管)並びにこれと直結している給水器具(給水装置)によって供給される水までとされている。
従って、受水槽を設けて給水している場合、受水槽以降の給水施設並びにこれらの施設によって供給される水の水質は、施設の設置者が自らの責任において管理しなければならない。

■主な水質事故
・受水槽と汚水槽が接近していたり、受水槽が地下式のため、槽のひび割れ部分から汚水が流入。
・長期間槽を清掃しなかったため、鉄錆や汚泥が沈積し、赤水等が発生。
・マンホールが開いたままになっていたり、通気孔やオーバーフロー管に防虫網が無いため、そこからネズミやゴキブリなどの害虫が侵入。


以前はワンルームマンションなど小さな住宅やビルの飲み水をためる「小規模受水槽」は定期点検の義務が無かったため、何年も放置されているケースがあり、ネズミやゴキブリの死骸が浮かび、赤サビ,藻類が繁殖というのも少なくなかったらしい。
一昔前のずさんな水道管理状況を考慮すると、浄水器やミネラルウォーターが売れるのも頷ける。

三重のショッピングセンターの件は不運としか言いようが無いが、こうして調べてみると、自宅や勤務先の水道事情について不安になってくる。


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