経済の不安を背景に、保障・補償設計や金融資産運用、老後の生活設計や年金問題など、ライフプランをコンサルティングするファイナンシャルプランナー(FP)の認知が年々高まっている。
しかし、現実的にFPが個人事業で成功している例はまだ少ないようだ。
生命保険販売などの保険業、銀行や証券会社などの金融業、そして不動産業や税理士・社労士など、既に生業を持っている方が、肩書きやスキルアップとして資格保有している場合がほとんど。
そこで、ここではFP事業の未来性をマーケティング視点で検証してみる。
①業界内の既存企業の競争
(競争業者の数・競争業者間の規模とパワー/業界の成長率/差別化の程度)
FP会社は全国各地に存在するものの、人口比率に対してはアメリカなどに比べ非常に少なく規模も大きくない。
また今後は団塊世代のリタイアメントプランニングの需要増加など成長の可能性がある。
ただ、FP業務の範囲は法律上決まっているため業務上での差別化は少ない。
よって、競争業者が増加しても業界の成長によって吸収されそうだが、差別化がなされていないという点で業界内の既存企業の競争は比較的激しいと言う事になる。
②代替品の脅威
代替品として考えられるのは、保険会社や銀行などのFP業務に近い業種だろう。
マニュアル通りに商品を販売していれば売れた時代も過ぎ、大規模な企業も各個人に合わせてコンサルティングするなど買い手側に歩み寄った商売に変わってきたため、FPと重複する業務が多い。
またWEBサイトの台頭も代替品となり得る。
問題意識を持ってWEBサイトを検索すれば、様々な知識を得る事ができるからだ。
実際に保険会社のサイトではライフプランやリタイアメントプランが計算できるツールが提供されており、FP知識が無くても簡単なライフプランであれば構築する事が可能だ。
これは脅威が大きく、業務内容の差別化をしていないと競争が激しくなり儲けづらくなる可能性を示唆している。
③新規参入の脅威
(規模の経済性/経験効果/投資の規模)
商売の特性上、規模の経済性はあまり働かず、設備投資も必要ないため投資の規模も小さい。
しかし、資格保有が必須と言う事、信用性が重要な商売であるため経験効果が高いことを考慮すると、新規参入の脅威は小さく安定的であると思われる。
④売り手の交渉力
⑤買い手の交渉力
(販売量と購入量/商品の差別化/スイッチングコスト)
FPは自身が商品でもあるので、売り手の交渉力をここでは考慮しない。
買い手は「ライフプラン・金融資産に不安のある消費者」「学校や企業」などが想定される。
スイッチングコストは低く、差別化はFP自身のパーソナリティの寄与するため、買い手の交渉力は強いと言える。
以上から「five forces」の分析をまとめると下記の通りになる。
①業界内の既存企業の競争 →「比較的激しい」
②代替品の脅威 →「脅威である」
③新規参入の脅威 →「脅威ではない」
④売り手の交渉力→「分析無し」
⑤買い手の交渉力→「強い」
注目すべき点は、①②⑤である。
代替品の脅威が大きいため企業の競争が増し、さらに買い手の交渉力が強いため立場が弱いということになる。
よって今回の検証では、FP事業は儲けづらい業界であるという結果に。
もしFPとして起業するのであれば、代替品や既存企業と差別化した新しいサービスを行う事が必要だろう。
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