2008年6月24日火曜日

オリンピックと放映権


オリンピックの開催まで1ヶ月ちょっと。
114年前の今日(6月24日)は国際オリンピック委員会(IOC)がオリンピックの開催周期を4年とすることに決定した日でもあるらしい。

ただ、中国とチベットの緊張関係や聖火リレーにみる政治問題、中国大地震による中国内の情勢不安と経済問題、そして水泳の水着問題による嫌疑と不安要素などで、今ひとつ盛り上がっていない今回のオリンピック。
今大会でオリンピック種目から外される「野球」「ソフトボール」は、金メダルの可能性も高く、注目したいものである。

ところで、アマチュアリズムを基本とし、平和の祭典であるはずのオリンピックだが、裏では放映権やスポンサーに縛られていることは周知の通りである。
そこで本エントリーでは、北京オリンピックと放送権について考察してみる。

通常オリンピックなどの大きな国際大会での決勝は、午前中を準備期間とし午後に行われることがほとんど。
しかし今回、競泳・体操の決勝が午前中に行われるとのこと。
この背景には、アメリカNBC放送の強い要求が見え隠れしている。
アメリカ国内における放送独占権を持っているNBC放送は、北京オリンピックの運営費の約半分をテレビ放映権料として支払っているそうだ。
実質的にNBC放送が冠スポンサーであり、この費用が無ければ開催すら危うい。
そして、アメリカは競泳・体操の人気が高く、高い視聴率が期待できるため、アメリカの夜の時間帯に生中継できるようにIOCに要求したと言うこと。
もちろん他国からは抗議の声もあがるが、運営費を減らされ開催できなくなることはできないのだから、どうしようもない。

ドイツで開催されたサッカーワールドカップでは、日本の試合を日本時間のゴールデンタイムで放映するために、FAFAが大幅な時間変更を強いられたのは記憶に新しい。
もちろん、これも日本の放送事業者による莫大な放映権料が絡んでいる。
ただ、日本チームのスケジュールが過密になったことで選手のコンディションが整わず、予選リーグで負けてしまうことになったのは皮肉だった。

インターネットが普及している今、インターネットでオリンピックが見れればいいのでは?と思いがち。
しかし放映権料が運営費を賄うというモデルが支配している限り、インターネットによる恩恵を享受できないことが以上の考察から分かる。
放送事業者は自国での視聴世帯数を換算した上でIOCと価格交渉をして放映権を買ってきているわけで、放映権料でのオリンピック運営、広告による放送事業者の放映権料の回収、というスキームが成立しているのだ。
放送権料も年々高騰しており、日本の放送事業者も一社では支払いきれず、NHKと民放各社が分担して買っているのが実情らしい。

現在のスキームの中で、インターネットにより世界中で視聴するということは、視聴世帯数を換算すると放映権料は天文学的数字になり、支払うことは不可能だ。
広告主も、世界中の視聴者を相手にターゲッティングせず広告を打つことはまず考えられない。

インターネットでの視聴への足がかりは、オリンピックの運営スキームの一新、もしくはインターネット放送にて視聴者をセグメントして広告配信できるシステムを構築すること。
Googleの進化を思うと、そう遠くないうちに後者の方法でオリンピックがインターネットで見れるかもしれない。

世の中が資本主義的であれば、結局ショービジネスに巻き込まれてしまいウンザリするわけだが、それでも世界一を目指し己の体一つで戦う選手達は輝き、ワクワクさせてくれることには間違いない。


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