2008年5月1日木曜日

圏外の時に携帯を振ったり掲げる習性について


携帯電話が圏外になると端末を振ったり手を伸ばして掲げたりしたことはないだろうか。
ほとんどの人が経験しているこの行為は、果たして意味があるのだろか。
今回、その行為に意味があるのか、そして何故その習性が流行ったのかをググって検証してみた。

まず一つ目の説。
端末を振り回す事によって、不安定な電波状態(圏外状態)を作ることができ、端末は再度電波をキャッチしようと試みるため、電波の入りが良くなるとのこと。
しかし、この説は電波が1本の時に行うのには理屈が通るが、圏外の時はそもそも意味が無いかもしれない。

次の説。
携帯電話の電波が均一に飛んでいないため、端末を振ると飛んでいる電波をキャッチし通じることがあるとのこと。
電波は目に見えないだけに分かりづらい説だが、この説を裏付ける解説を紹介。

基地局から放射された電波は端末が受信するまでに途中の建物や障害物などに反射したり回折をして伝わってくる。
反射や回折をして様々な方向から飛んでくるため、結果として時間的なズレや位相(電波の波)のズレが起こった電波を端末が受信してしまう。
このとき電波同士が重なり合い、強くなったり、逆に打ち消しあったりして受信電波の強さが激しく変動する。
そしてその変動は800MHzで約15cmごとに、FOMA3Gの2GHzで約7cmごとに電波の強い場所と弱い場所が存在するとのこと。
ゆえに携帯電話をちょっと動かしただけで受信電波の状態が変わるという結果が生まれるらしい。

非常にロジカルな解説だ。
振ると15cmくらいは動くので、たまたま受信できたために、携帯が普及し始めた頃「圏外だったら、振ったりするといい」という噂話が出たのではないか。
よって検証結果は、振ったり高く掲げたりすると電波をキャッチすることもあるということ。
ただ室内の場合は、意図的に圏外にできる機器を設置している場合もあるので、振っても掲げても無駄ですのでご注意を。


昔は電波塔も少なく設置アンテナの質も良くなかったため、電波が不安定だったのかもしれない。
少し携帯を動かしただけで電波状態が変わるところは、ビル街などでのマルチパスフェージング(干渉)による影響が大きいとも考えられているそうだ。
詳しくは、上記内容を抜粋した『電波感度をよくするケータイ・スポット・アンテナの開発Blog』を参照へ。

ちなみにググっていると、面白いエントリーを発見。

実際にNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンク(SB)の3社に真偽を確認したとのこと。

.電話機を振ると受信状態がよくなる?
ドコモ:そのようなことはありません。
au:根拠の無い話です。
ソフトバンク(以下SB):良くなることは有りません。

.電波の届き難い場所では、電池切れが早い?
ドコモ:電源が入っている時は、中継基地局との間で電話機の位置情報を常にやり取りしています。圏外の場合はそのやり取りが圏内と比べ頻繁になり、電池の消耗が早くなります。
au:その通りです。電話機が基地局を探しに行く動作を行うため、電池切れが早くなります。
SB:はい。携帯電話は一定時間ごとに受信状況を更新します。圏外だと更新できず、電波を探し続けるため電池の消耗が早まります。

とのこと。キャリアとして妥当な返答ですね。
干渉やら回折やらを説明していたら日が暮れてしまいますからね。

最後に、本エントリーを書いていて思い出したこと。
以前はアンテナ外だしで、電話の際にはアンテナを伸ばすのが主流だった。
アンテナに光るランプをつけたり、アンテナ自体をゴールドやシルバー色したステンレス製にカスタマイズした人も多く見受けられたのが懐かしい。


実は、私達のようにラジオのチューニングに慣れている世代は、電波が悪い時にアンテナを様々な方向にかざすことにはラジオ電波をキャッチする経験から基づく理屈があった。

しかしいつの頃か、アンテナは内蔵され今やアンテナを伸ばす人は見当たらない。
そして家庭でラジオをつけてアンテナ伸ばしチューニングする姿も消えつつある。
だが若者達も圏外の時に端末を振っている。
この行為は何とかしたいがためのただの“あがき”であり、ロジックなど無いのかもしれない。


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