2009年3月27日金曜日

音楽との出会いが音楽産業成長へのキーポイント


米音楽売り上げ、3分の1がデジタル音楽に

米音楽売り上げのうち、デジタルダウンロード販売が占める割合が3分の1に達したそうだ。
デジタル音楽売り上げは29%増加し、CD売り上げは19%減少したとのこと。
CDよりデジタル音楽を好むユーザーは、理由として、欲しい曲だけ買える点や、すぐにダウンロードして聴ける点を挙げている。


アメリカでは急速にデジタルへシフトしていることがうかがえる。
日本では音楽出版権やインフラ、CDレンタル制度などアメリカと事情が大きく異なるため、すぐにデジタルが独占していくことは考えにくいが、それでも足音は迫っている。

さて記事を読んで「欲しい曲だけ買える」というコメントが非常に気になった。
この意識は音楽マーケットの成長にとって非常にネガティブだと思われるからだ。

通常マーケティングでは、消費者のニーズ・ウォンツを満たす方法を考えることから始まる。
90年代を謳歌した小室音楽などは、消費者が必要としている音楽をつくり売れる曲を意図的につくっていた。
これは本人もインタビューなどで語っており、徹底したマーケティングで一つの音楽シーンを築いたのだ。

しかし、消費者の意向に全てを委ねるだけではいずれマーケットは収縮する。
だからウォークマンやiPodのように、新しいマーケットを創造することも重要なのだ。
音楽も同様に新しいシーンを構築していかなければいけない。
ただし音楽は、ミュージシャンとリスナーのコミュニケーションの形の一つでもあり、文化であるため、戦略的に構築することは難しい。

何を言いたいかというと、新しい音楽の発見・出会いが新しいシーンを構築しムーブメントになるということ。
消費者が自分の知っている曲だけを聴いていたら、音楽マーケットは成長できないのだ。
amazonのレコメンド機能も素晴らしいが、本とは異なり機械的にオススメされる音楽はなかなか受け入れづらいのではないだろうか。
友人など信頼している人からの紹介、カラオケやテレビ・ラジオでの出会い、CDショップでの試聴など、自身のTPOやマインドの波長と合ったときに出会いは必然的に起きる。
だからこそ、これからの時代、在庫を大量に抱え試聴が行えるCDショップは稀有で大切な存在だし、myspaceやmixiなどのSNSは音楽との出会いの場としても大きな期待が寄せられる。

今後WiFiなどのインフラが携帯電話並みに整い、定額で希望ジャンルの楽曲などがiPodに自動配信されることも想定できる。
音楽との出会いを飛躍的に広げる自動配信システムが、音楽マーケットに新しい風を吹き込めるかが非常に注目される。
音楽との出会いをいかに提供できるかがマーケットの成長をも左右するからだ。
この分野では、iTunesよりもNapsterの方が非常に期待できるポテンシャルを持っていると思うのだが、どうなんだろう。

しかし、コンパや社交場への参加など積極的に異性との出会いを見つけに行く場がCDショップとすると、音楽配信はお見合いと言ったところか。
なんだか先進的になるにつれ時代が逆行しているように思うのは気のせいか。


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